書籍紹介「腎臓の教科書」髙取優二 著

「腎臓の教科書」
髙取優二 著 ISBN978-4-06-541127-8

腎臓の大きさは握り拳ほどで、重さは約150グラム(両方で約300グラム)ですが、この重さと大きは30代をピークに、加齢とともに減っていきます。じつは、60歳を超えると腎臓の容積は1年で16立方センチメートルずつ減少するとされています。
日本では現在、約2000万人、成人のおよそ5人に1人が腎臓の機能が慢性的に低下している慢性腎臓病だと推計されています。なお機能が低下しても痛みなどの症状は出ません。

I 腎臓の主な機能(生体恒常性の中心的機能)

1.老廃物を尿として排泄する
尿が出ないと生命の危機につながります。排泄している老廃物としては、尿素、クレアチニン、尿酸があります。
(1)尿素:たんぱく質が分解された後にできるアンモニアを尿素に変換して排泄
(2)クレアチニン:骨格筋のエネルギー貯蔵物質クレアチンリン酸を分解して排泄
(3)尿酸:遺伝子の構成成分であるプリン体を分解して排泄

2.体液の量と電解質濃度を調節する
(1)糸球体で濾過された原尿は1日で150~180リットルになりますが、その99%は尿細管で再吸収される。
(2)尿細管でナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどの電解質のバランスを調節する。

3.血圧を調整する
(1)心臓からの血液量が減ると血圧を上げるレニン(ホルモン)を分泌して全身に血液が行き渡るようにする。
(2)逆に多い場合は心臓からナトリウム利尿ペプチドを分泌させ尿量を増やす。

4.体液を弱アルカリ性に保つ
(1)血液やリンパ液を含めたすべての体液はPH7.35~7.45の範囲の弱アルカリ性を維持する。
(2)酸性に傾いている場合は、尿細管が水素イオンを尿へ排出して、体液を弱アルカリ性に保つ(水素イオンが多いと酸性に傾く)。

5.赤血球の数をコントロールする
(1)血中の赤血球の減少を感知すると、エリスロポエチン(EPO)を分泌して、骨髄での赤血球の産生を促す。
(2)従って、腎臓の機能が低下するとEPOの量が減少し、十分な量の赤血球が作れなくなる。

6.ビタミンDを活性化させる
(1)ビタミンDは、肝臓を経由して腎臓に移動すると活性化し、小腸からカルシウムの吸収を促進する。
(2)従って、腎臓の機能が低下するとカルシウムの吸収が悪くなり骨がもろくなる骨粗鬆症などの原因となる。

Ⅱ 腎臓のアンチエイジング
加齢とともに変化するのは腎臓の大きさだけでなく、内部の組織が壊れて硬くなったりして、スカスカの密度の低い状態になります。

1.機能を損なう現代人の生活
(1)食塩摂取量過多による高血圧や、食品添加物による無機リンの摂り過ぎ。
(2)運動不足や喫煙による血流量の不足。
(3)大人になっても、必須アミノ酸のメチオニンの摂取(年齢による相違)。

2.食事の注意点
(1)調味料を工夫して、塩分や糖質過多を改善する。
(2)スポーツドリンクでの水分補給は、脱水状態になった時に限定する。
(3)腸から吸収されやすい無機リンをできるだけさける(高リン血症をさける)。

3.運動療法
(1)現在では、慢性腎臓病でも適度な運動が推奨されている。
(2)具体的には、ウォーキングを中心にスクワット、かかと上げ、もも上げなどを行う。

人生100年時代を健康に生きるための腎臓の取扱説明書!!

2026年4月16日 9:05  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介「脳と免疫の謎」毛内拡 著

「脳と免疫の謎」
毛内拡 著 ISBN978-4-14-088745-5

脳のメンテナンスを担当するグリア細胞は、脳の健康を維持するために損傷した細胞や異物の除去に貢献しています。しかし、過剰に活性化すると神経炎症を起こし、神経系の病態を誘発することが知られています。

I 脳の防衛システム
脳ほど丁重に守られている臓器はありません。防衛システムは「物理的な保護」「化学的な保護」「脳独自の免疫システム」「脳独自のリンパ排泄システム」の4つに集約できます。なお、ここでは、前2者を考察します。

1.物理的な保護
(1)非常に硬く、破壊されにくい頭蓋骨で保護されている。
(2)頭蓋骨の下の髄膜(硬膜、クモ膜、軟膜)という構造でも保護されている。

2.化学的な保護
(1)脳内に余分なものが入ってこないように「血液脳関門」というバリアがある。
(2)一方で、比較的小さい分子で脂溶性のアルコール、カフェイン、ニコチン、麻薬や危険ドラッグは通過する。
(3)様々な神経伝達物質はそれを受け取る受容体は「シーソー」の働きによって調整される。この「シーソー」のバランスが崩れると不調や依存症につながる可能性がある。

Ⅱ 脳独自の免疫システムとリンパ排泄システム
ここでは、残りの2者について考察します。

1.脳独自の免疫システム
(1)服の免疫システムはグリア細胞のミクログリアとアストロサイトが担っている。
(2)ミクログリアは、身体のマクロファージのように「貧食作用」を果たす。
(3)誕生後、多めにつくったシナプスを最適化する「刈り込み」が貧食作用によって、正常に行われないと自閉スペクトラム症などの神経発達症や統合失調症を発症すると考えられる。
(4)脳が免疫疾患、つまり炎症状態になると、ニューロンの軸索のミエリン鞘が消失し、中枢神経系では「多発性硬化症」、末梢神経系では「ギランバレー症候群」を発症する。
(5)ミクログリアは、何らかの理由で活性化状態が長引くと、炎症性物質を放出し続けうつ病などを発症する
(6)化学的な保護の「血液脳関門」はアストロサイトによって管理されている。

2.脳独自のリンパ排泄システム
(1)脳では脳脊髄液による脳リンパ排泄系と髄膜リンパ系によって脳内の老廃物を洗い排泄している。
(2)この排泄には、アストロサイトの突起部分に偏在する「アクアポリン4」と呼ばれる「水チャネル」(膜タンパク質)が通り道として機能する。
(3)排泄システムが作用しなくなると、老廃物が脳内に蓄積し、アルツハイマー病(アミロイドβの蓄積),パーキンソン病(αシヌクレインの蓄積)の原因となると考えられる。

「脳の免疫細胞」と言われるグリア細胞!
すべてを理解するカギは、「炎症」にあった!!

2026年4月2日 9:02  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介「ミトコンドリアから読み解く老化と再生」武本重毅 著

「ミトコンドリアから読み解く老化と再生」
武本重毅 著 ISBN978-4-8470-6235-3

赤血球を除く、ほぼすべての細胞の中でエネルギーを作っている工場のミトコンドリアは、食べた栄養素と吸い込んだ酸素を使って、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー通貨を作っています。従って、ミトコンドリアが不調になると、「老化」や「病気」が加速します。本書のテーマは、このミトコンドリアを活性化し再生することで、できるだけ老化を遅らせることになります。

1.老化を引き起こす3つの因子(ミトコンドリアは老化の司令塔)
老化の背景には「酸化」「炎症」「糖化」という3つの因子が関与しています。さらに、これらの因子は、それぞれ単独で体に悪影響を与えるだけでなく連鎖することでさらに老化を加速させます。
(1)酸化
ミトコンドリアによるATP産出過程では、数%の活性酸素が発生しますが、通常は体内の抗酸化酵素によって中和されます。しかし、加齢とともに中和機能が低下すると活性酸素種のヒドロキシルラジカルによって、細胞のみならずミトコンドリア自身やそのDNAもダメージを受けます。また、ミトコンドリア機能が低下すると活性酸素の発生量が増えたり、ミトコンドリアの自己修復や自滅作用(オートファージーやマイトファジー)も低下します。
(2)炎症
体が何らかの刺激に反応したり、ミトコンドリアが損傷すると、免疫システムが活性化し炎症反応が起きます。ところが、加齢によりこの反応が慢性化(慢性炎症)し、体に負担をかけます。
(3)糖化
ミトコンドリアが劣化すると糖を効率よくエネルギーに変換できなくなり、余分な糖がタンパク質と結合してAGEs(終末糖化産物)を作ります。すると、皮膚や血管、骨の弾力性が失われるなど組織が破壊します。

2.ミトコンドリアを元気にする「3本の矢」
老化は止められないが、以下の3本の矢によって、ミトコンドリアを活性化・再生化することで老化を遅らせることができます。
(1)第1の矢…NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)
補酵素の前駆体のNMNは、体の中でエネルギーを作るために必要なNAD+(ナドプラ)成分を増やすもとになる物質です。NAD+は3大栄養素の代謝に不可欠な物質で増えると、ミトコンドリアの働きが活発になり、細胞の修復や老化のブレーキ役を担う「サーチュイン遺伝子」もよく働くようになります。
(2)第2の矢…水素ガス吸入療法
水素(H2)は活性酸素種の中で最も毒性が高いヒドロキシルラジカルを選択的に中和します。従って、酸化ストレスによる細胞損傷を防ぐだけでなく、ミコンドリア機能の維持に直結します。
(3)第3の矢…5-ALA(5-アミノレブリン酸)
5-ALAは、ミトコンドリア内の呼吸鎖(電子伝達系)の構成要素であるヘムの前駆体で、ATP産出効率が高まり、エネルギー不足による細胞機能の低下を防ぎます。

以上、要約すると
NMNがミトコンドリアのスイッチを入れ、5-ALAがその構造を育成し、水素がそれを保護する。

老化は、決して運命ではない!
「アンチエイジング3本の矢」でミトコンドリアを救う!!

2026年3月19日 9:07  カテゴリー:書籍紹介

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