書籍紹介「欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」」奥田昌子 著
「欧米人とはこんなに違った日本人の「体質」」
奥田昌子 著 ISBN978-4-06-533099-6
日本人の体質は欧米人はもとより、アジアの他の地域とも異なります。肌や髪、瞳の色などの外見だけでなく、筋肉のつきかたや脂肪の質、体温、食物の消化吸収力、アルコールの分解力、酵素やホルモンの量、腸内環境など、体の中も違っています。なお、本書では「遺伝的要因と環境要因との相互作用によって形成される、その人の体が持つ性質と特徴」を体質と考えます。体質が異なれば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わるため、日頃の健康法や予防法、そして治療法も同じというわけにはいきません。
1.食生活の変化と病気
(1)食生活の改善によって脳出血が減少した、一方で食の欧米化により生活習慣病と欧米型のがんが増えた。
(2)内臓脂肪の増加は、カロリーの摂取量よりも、脂質の摂取比率の上昇(29%)によるTNF-αなどの分泌(悪玉)の増加やアディポネクチンの分泌(善玉)減少をもたらす。
(3)結果、インスリンの効き目が下がりアポトーシス機能の低下などにより、発がんにつながっている。
(4)欧米では認知症が大きく減少しているが、日本では、生活習慣を要因とするアルツハイマー型認知症が増加している(全体の約70%)。
(5)認知症の危険度を高める要因として欧米型の食事、運動不足、そして糖尿病が指摘されている。大豆、野菜、海藻などの摂取は認知症の発生率を低下させる。
2.代表的な生活習慣病
(1)2型糖尿病
・増加原因は脂質の摂取比率の上昇と運動不足で内臓脂肪が増えて、インスリンの効き目が低下することにある。
・糖尿病が進行すると、予備軍の段階から大腸がん、肝臓がん、膵臓がんなどの発症確率が上がる。
・予防するには、炭水化物を十分に摂取(55%前後)し、食物繊維が豊富で脂肪が少ない食生活をする。
(2)本態性高血圧
・血圧を上げるストレス、肥満、糖尿病、カリウム不足に留意する。減塩だけでは下がらない。
・アルコール代謝能力が弱いタイプの遺伝子を持っている人は、飲酒で血圧が上がりやすい。また喫煙も血圧を上げる。
・カリウムを十分に摂取すれば、減塩にまさる降圧効果がある。
(3)脂質異常症と動脈硬化
・動脈硬化を原因とする脳梗塞が増加しているが、善玉・HDLが多いため心筋梗塞は少ない。
・コレステロールの70%が体内で合成されるため、コレステロールの摂取よりもコレステロールの合成を促す飽和脂肪酸を避けることが大切。
・内臓脂肪がたまりやすい日本人は欧米人より脂肪肝になりやすい。特に食べすぎによる脂肪肝は肝硬変や肝がんを発症する。
3.日本人に多いがん
(1)大腸がん
・1960年代から急増し、現在では欧米よりも発症率が高く、その背景には遺伝的要因がある。
・日本人は欧米人よりも飲酒の影響を受けやすい。日本人の男性が飲酒も喫煙もしなければ、半数は予防できるという試算がある。
・デスクワーク中心で体をあまり動かさない男性は大腸がんになりやすい。
(2)胃がん
・東アジア型のピロリ菌は欧米型のピロリ菌より、胃がんを起こす力が強い。また、日本人は胃がんになりやすい遺伝的素因を持つ人が多い。
・ピロリ菌陽性者に男女差はないが、喫煙率の高さ、塩分や牛肉の過剰摂取により胃がんは男性に多い。
(3)乳がん
・1960年代以降、動物性蛋白質の摂取、女性の性的成熟の早さ、晩婚化、少子化による女性ホルモンの影響で、日本人の女性が発症するがんの第1位となっている。
・乳腺の割合が高い乳房をもつ東アジアの女性は、乳がんを4~6倍発症しやすい。
(4)膵臓がん
・世界的に見て、日本人の死亡率は高い。遺伝の影響が比較的大きく、血縁者に患者がいると発症率が2~7倍高い。
・食の欧米化による赤肉、乳製品、甘い清涼飲料水、果物の摂取が多いと発症しやすい。
科学が示す、人種と病気の新常識!
「日本人のための健康法」とは?
2026年10月15日 9:09 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「自分をつくる脳のしくみ」毛内拡 著
「自分をつくる脳のしくみ」
毛内拡 著 ISBN978-4-86593-826-5
本書の目的は脳のしくみを知り、日常で起こっている困りごとを「性格の問題」ではなく「脳の現象」としてとらえ直し、扱い方を見つけること。脳は理屈だけでは動きません。睡眠や免疫、環境の影響を受けながら、その都度コンディションを変えています。なお、本コーナでは、脳科学の裏付けのある脳を整える新習慣に限定して考察します。
1.朝起きたら朝日を浴びる
朝起きて日光を浴びると、体内時計がリセットされ、睡眠リズムが整います。結果、自然に目覚め、気分も前向きになります。
2.就寝前1時間はスマホを置く
深くよい睡眠をとるためには、脳を刺激する光を寝る1時間前から断つこと。
3.青魚やナッツを食べる
青魚やクルミ、アーモンドなどに含まれるDHAやEPAといったオメガ-3脂肪酸は、脳細胞の膜を柔らかくして、脳内の情報伝達をスムーズにします。
4.毎日15分程度の軽い運動
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動で脳内のドーパミンやセロトニンの分泌を適切に促し、脳内物質のバランスを整える。
5.深呼吸で脳をリセットする
ストレスや不安を感じたら、ゆっくりと深呼吸をし、自律神経を整え、脳を落ち着かせる。
6.歯磨きで脳を守る
口腔内の健康は脳を炎症から守り、脳の健康に直結します。
7.週に一度「新しいこと」に挑戦する
料理や散歩ルートの変更など小さなことでも脳を刺激して、神経回路の柔軟性を高めます。
8.「ありがとう」を言葉にする
感謝の言葉を口にすると、脳内に「愛情ホルモン」のオキシトシンが分泌され、心が穏やかになります。
9.瞑想の時間をもつ
短時間でも瞑想を習慣化するとストレスに強くなり、集中力も高まります。
10.寝る前に「今日よかったこと」を思いだす
よかったことを思い返して寝ることで、脳がポジティブな感情を記憶します。自己肯定感が高まり、穏やかな気持ちで睡眠に入れます。
脳は環境と回復が整えば、自然に性能を取り戻す臓器!
調子のよい日もそうでない日もあるのが自然!!
2026年10月1日 9:04 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「血液型でわかる病気とケガのリスク」深瀬浩一 著
「血液型でわかる病気とケガのリスク」
深瀬浩一 著 ISBN978-4-299-06636-7
本書は、ABO式血液型が感染症、心血管疾患の起こりやすさやケガの重症化リスクと"どの程度"関係しているかについて、最新の疫学データと生物学的な機序にもとづいて説明することを目的としています。とはいえ、「血液型だけで病気が決まる」と煽るものではありません。血液型は"運命"ではなく、"確率の微調整"として重要な手がかりを与えてくれます。
1.ABO式血液型(A型・B型・O型・AB型)と糖鎖
(1)赤血球表面の糖鎖によって血液型が決まります(体細胞の約70%が赤血球)。
(2)O型糖鎖(グルコース、ガラクトース、Nーアセチルグルコサミン)にNーアセチルガラクトサミンが結合するとA型。
(3)O型糖鎖にガラクトースが結合するとB型、両方の糖鎖が結合するとAB型になります。
(4)糖鎖は赤血球のみならず、全身の上皮細胞とくに胃や腸などの消化管に多く存在しています。
(5)自分がもつ抗原と結合する抗体はもっていない一方で、自分がもっていない抗原に結合する抗体はもっています。
(6)従って、A抗原のA型は抗B抗体を、B抗原のB型は抗A抗体を、A抗原及びB抗原のAB型は抗体はなく、H物質のO型は抗A抗体及び抗B抗体をもっています。
2.血液型と感染症
(1)新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は「A抗原」が好きなので、A抗原をもつA型(またはAB型)は感染しやすく、H物質のO型は感染しにくい。
(2)新型コロナ感染で、免疫の暴走による「サイトカインストーム」が起こると血栓が発生し重症化しますが、以下の理由でO型は重症化しにくい。
(3)血栓には動脈硬化のように動脈にできやすい血小板血栓(白色血栓)とVWFや第Ⅷ因子といった血液凝固因子が関与し、足の付け根の静脈などに発生しやすいフィブリン血栓(赤色血栓)があります。
(4)O型の人はVWFと第Ⅷ因子濃度が低いため、非O型より血栓ができにくい。
(5)さらに、O型の人はVWFの分解速度が非O型よりも早く血栓が解消されます。
(6)以上より、O型の人は心血管疾患や脳血管疾患のリスクが低くなります。
(7)一方で、O型の人は重大な外傷などの緊急時において止血が困難になるという弱点があります。
(8)O型の人はコレラ菌に感染しやすく、その理由としては、コレラ菌の表面にあるO抗原とO型の赤血球にあるH物質が同質であると考えられています(AB型は低リスク)。
(9)O型の人はピロリ菌にも感染しやすく、長く体内にとどまります。その理由としては、ピロリ菌が好むH物質がO型の人の体内に豊富にあると考えられます。
3.血液型と慢性炎症
(1)慢性炎症は急性炎症に比して、発症期間が長いだけでなく、自覚症状はなく、特定の細菌やウイルスの感染によって生じるわけではありません(免疫システムが過度に活性化)。
(2)慢性炎症の第一の原因とされるのは「内臓脂肪型の肥満」で炎症性サイトカインが放出され、白血球が活性化します。
(3)さらに恐ろしいのは、炎症性サイトカインの働きで脂肪細胞から血液中に脂肪酸が放出(遊離脂肪酸)され、それが血流に乗って、ほかの臓器や組織にも慢性炎症を及ぼします。
(4)炎症マーカー(CRP、ILー6、TNFーα)はA型の人では高い値が出やすく、O型の人では比較的低い値になるようです。
血液型の最新知見で解き明かす!!
2026年9月17日 9:05 カテゴリー:書籍紹介
