書籍紹介「老いと死の流儀」池田清彦 著
「老いと死の流儀」
池田清彦 著 ISBN978-4-594-10153-4
本書は、「老い」の正体を生物学的、そして社会的観点から解き明かしつつ、「老い」とうまく付き合っていく方法、いわば老いのマネジメント法について著者の考えを述べています。
1.「老いる」とはどうことか?
年を取ることで主に下記の要因によって老化が進みます。
(1)DNAにミスコピーや損傷が起こりやすくなる。
(2)損傷を受けたDNAの修復能力が低下する。
(3)遺伝のスイッチのオン・オフを調節する「エピゲノム」が乱れる。
(4)細胞分裂によるテロメアの長さがだんだん短くなる(ヘイフリック限界)。
従って、医療の進歩があっても、どれほど老化を遅らせることができても、100歳を超えるあたりがかなり恵まれた「最終到達地点」になります。
2.長生きに「効くかもしれない」こと
カロリー制限によって
(1)体の負担を減らし、生活習慣病をできるだけ回避する。
(2)「オートファジー」を活性化して、細胞内で古くなったり、壊れた部品を分解して、再利用する。
(3)週に1~2回の16時間断食によって「オートファジー」を活性化させる。
(4)長寿遺伝子とも呼ばれる「サーチュイン遺伝子」を活性化させる。
さらに、カロリー制限以外では、適度なストレスによる「ホルミス効果」や「規則正しい生活」をできるだけ維持することも大事です。
3.今を楽しむこと
(1)「今」を楽しむ特権を得ること
未来を心配するメリットがあるのは若い人だけで、嫌なことでもやらざるを得なかったり、我慢したり、努力したりするのは、その先に長い未来があるからでしょう。従って、「今」を楽しく過ごすことができるのは、年を重ねたらこそ得られる特権です。
(2)テクノロジーの恩恵を受ける
杖や車椅子、インプラント、メガネや補聴器、VRゴーグルなどを使用して、「まだまだ楽しめる日々」を延ばす。
4.「人生の意味」から解放する
(1)すべてに「意味」があるとは限らない
人間は、あらゆることに意味を見いだそうとする生き物です。意味の典型は「なんのためにあるか」ですが、その答えが出ないことが多くあります。
生物の形質一つ取っても、すべてに意味があるわけではなく、不適応だと思える形質を持つ生物はたくさんいます。もともと、人間を含め、すべての生物は目的のためにつくられたわけでありません。だから意味などもともとないんです。
(2)「人生の意味」が自分を縛り、生きづらくする
多くの人の頭の中では、「人生の意味」は「生きる目的」とセットになっているので、それを見つけられないと生きづらくなります。人生の意味を考える最大の弊害は、一つの価値観に縛られることになります。しかし、時代や状況に応じて「正解」や考え方が変化するのが通常でしょう。
「今を楽しく生きる」ことこそが本当の終活!!
2026年6月18日 9:08 カテゴリー:書籍紹介
書籍紹介「人は死ぬとき何を後悔するのか」小野寺時夫 著
「人は死ぬとき何を後悔するのか」
小野寺時夫 著 ISBN978-4-8002-1777-8
著者は消化器がんを対象とした外科医時代の40年間余りと、ホスピス業務に参加してからの12年間を通じて、主にがん死を迎える2500人ほどに接してきました。そこで、本書では多くの先人の「死に抵抗する姿」「後悔」に触れ、読者の「よりよい生」「よりよい死」の一助としていただくことを願っています。
1.治療を後悔する人が多すぎる
(1)手術による体への障害を軽く見てはいけない
ホスピスに来る患者のなかには、過剰な手術のおかげで悲惨な経過になり「手術を受けなければよかった」と後悔しながら死を迎える患者が少なからずいます。
(2)抗がん剤の本当の実力とは
・抗がん剤が効くのは、ある種の白血病、悪性リンパ腫、睾丸のがん、胎盤の繊毛上皮がん、小児がんで、おおよそ7割の人に有効で、5年生存率も6割を超えています。
・問題なのはそれ以外のがんで、乳がんや卵巣がんでは有効例が比較的多いですが、それ以外のがんで本当に延命効果があるのは10人に1人以下です。
(3)新薬治験という"誘惑"
抗がん剤を受けていてもがんが進行するので新薬治験に期待する人がいますが、効いた例をこれまで見たことがありません。
(4)日本の免疫療法は"モドキ"である
・がん免疫療法を受けた患者25人ほどに会って、治療法や効果について詳しく聞いてみましたが、効いている人は一人もいませんでした。
・世界的に免疫療法の効果がある程度認められているのは悪性メラノーマだけで、入院を必要とする骨髄移植よりも大がかりで、患者の苦痛も危険度も高く、クリニックでできる次元のものではありません。
2.家族が不運でなければ、幸運である
(1)不幸な人が多過ぎる
「家族のために、自分が欠かせない」と分かっていても、どうすることもできずに死んで逝く人もいます。誠実な努力をしているのに不運・不幸の連続の人もいます。自業自得といえ、他人に騙されて経済的に困窮している人もいます。
(2)"怖い死に顔"になる人の傾向
次の人の死に顔は穏やかでない場合があります。
・身体的苦痛が長い間続いた人
・手術や抗がん剤治療を受け過ぎた人
・最期まで死に抵抗する人、特に40代~50代前半の人
・人生に不運、不満の多かった人
・遺族のことか心配でならない人
3.死に際に後悔しないために、今できること
(1)「子の世話は受けられない」と覚悟する
親がどんなに苦労して子育てをしても、それ自体が「報い」であり、子は子の人生事情があって、「たとえ人生の最期が近づいても、子の世話は受けられない」と割り切っている方が無難だと思えてなりません。
(2)死ぬ時の私(著者)の希望
希望する対処法は以下の3つです。
・助かる見込みが少ないのに、あらゆる救命治療をやり過ぎないこと
・痛みなどの身体的苦痛があったら、充分緩和してもらうこと
・意識が正常でないのに、人工呼吸器、ペースメーカー、栄養補給などの延命治療を続けないこと
悔いの多い人生では安らかに眠れない!
現役ホスピス医が聞いた「後悔」の実例!!
2026年6月4日 9:02 カテゴリー:書籍紹介
