書籍紹介 「暴走老人!」 藤原智美 著

暴走老人!
藤原智美 著 ISBN 978-4-16-369370-5

いま若者の凶悪犯罪の現象とは反対に「いい歳をした」危ない大人が増えている。2005年、刑法犯で検挙された者のうち、65歳以上の高齢者は数にして46,980人。平成元年にあたる1989年は9,642人だからわずか16年で約5倍の増加というとてつもない数字になる。この間の高齢者人口の増加が約2倍だから、5倍というのはそれをはるかに超えた数字である。分別があってしかるべきとされる老人が、ときに不可解な行動で周囲と摩擦を起こす。あるいは暴力的な行動に走る。こうした高齢者を著者は「新老人」と呼ぶ。新老人が暴走する原因を一言で言えば、彼らが社会の情報化へスムーズに適応できないことにある。いつの時代も社会は変化し、それにともなって人々の暮らしも変わっていった。けれど、この半世紀の変わり様は、そのスピードと質によって他の時代とは明らかに異なる。激変する時代環境では過去の経験則はムダであるばかりか社会適応の妨げになる。新しいビルを建てるには古い建築物が邪魔になるのと同じ理屈である。

著者は「時間」「空間」「感情」の秩序変化への不適応として新老人の暴走原因を分析する。「時間」については、例えばインターネットを情報のスタンダードとする時代、それまでの時間に対する感覚、使い方を大きく変えようとしている。人生時間のリミットが見えてきた世代にとって、その対応は切実でありつつ、大きな困難をともなう。「空間」については、住まいでは個室化が進み、人々は目に見えない個のバリアを張り巡らしていて、それは公共空間においても同じで、声、音、臭いという領域でもテリトリー感覚は強力になっている。「感情」については、サービス化する社会で、人々のあいだで感情をマネージメントしようとする意識が強くなり、その上で新しい内面の秩序化が日常的に起こっている。こうした「時間」「空間」「感情」というレベルでの急速な変化に適応していくのは、若い世代でも努力必要とする。ましてや新老人たちは、さらにひどく困難な営みとなる。

本書のテーマは「暴走する老人たち」ですが、著者は老人批判を展開しているのではなく、暴走の現実を追いかけて、現在進行している人と人のかかわり方の根底的な変化を捉えています。

2012年11月29日 9:28  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介 「老化はなぜ進むのか」 近藤祥司 著

老化はなぜ進むのか
近藤祥司 著 ISBN978-4-06-257662-8

科学的な見方をすると、老化には大きく分けて2つあると考えられます。1つは「個体老化」もう1つは「細胞老化」と呼ばれるものです。個体が老化すると、シワが増えたり、筋肉が衰えたりします。一般の女性が老化と捉えて悩んでいるシミやシワは「外見(見た目)の老化」と呼べるものです。しかし、個体老化では外見以外にも、体の中で内臓の機能が低下したり、病気になりやすくなったりするという現象も同時に起こっています。その結果、病気が重症化し、治療不可能となると個体の死が訪れます。

一方、細胞老化とは、われわれの体を構成する体細胞には分裂回数に限界があり、寿命があるという現象のことです。つまり、あと何回分裂増殖できるか、その残りの回数が減っていくことが細胞にとっての老化といえます。個体は細胞の集合体として存在するから、個体老化も細胞老化も同じことではないかと考えることはできます。じつは歴史には、個体老化と細胞老化は別々に研究がなされてきました。研究する材料が別々(前者はマウスや線虫など、後者は培養細胞など)であったという理由以外にも、それぞれ別々の原因(前者は酸化ストレスなど、後者はテロメアなど)が想定されたからです。

1990年代以降、老人研究が進むにつれて遺伝子など老化に関わる役者が明らかになってきました。酸化ストレスやテロメア以外にも細胞周期制御因子、癌抑制遺伝子、Sir2遺伝子、DNA修復遺伝子、核タンパク質遺伝子、炎症関連遺伝子など続々と老化に関与する遺伝子が判明してきました。そうした流れの中で興味深いことに個体老化と細胞老化の共通点が徐々に明らかとなり、最近では相互に関連した研究がなされるようになっています。

本書では老化の研究の始まりから、どう発展してきたか、何がかかわりつつあり、何がかかわらないのか、それは現実の日常生活で感じる老化とどう結びつくか、といった点についてわかりやすく解説されています。くしくも、日本では高齢化社会の到来とともに様々な医療問題が出現しつつあり老化に対する関心はますます高まりを見せています。そこで、本書は老化研究や老化予防医療に対する一定の理解に役立つことを意図して老化研究の最先端から医療応用までを俯瞰しています。

2012年11月22日 9:12  カテゴリー:書籍紹介

書籍紹介 「平穏死」という選択 石飛幸三 著

「平穏死」という選択
石飛幸三 著 ISBN978-4-7790-6066-3

今、日本は世界最高の高齢社会を迎えています。少子高齢化、右肩下がの経済、このままでは医療介護の負担を子孫に負わすことになります。わかっていながら動かない政治、そんな中で老衰に介入する医療の矛盾を認識し、医療のあり方を再検討することは医療者にとって喫緊の課題です。これからの生涯がまだ残っている人を真剣に救わないで、もう先が見えている人を、十分に生きてゆっくり休みたい人を、無理にがんばらせている構図が今現にあります。高齢者を見殺しにするのか、弱者切り捨てだ、一見正論のようでも実は見当外れの過剰反応です。今、我々に必要なことは理性的に現実を分析すること、そして対策をを立てて実行することです。今や医者の矜持が問われています。経口摂取不能、それはもはや単に「口から食べる」という一機能の脱落ではなく、老衰、生物体としての終焉という自然の摂理なのに「方法があるのだからしなければならない」「保護責任者遺棄致死罪だ」と胃ろうを付けてでも生かさなければならないと考えるのは、一種の教条的な義務感の信奉者、犠牲者かもしれません。

ところで、厚労省も自然死を認める方向に大きく舵を切りました。2011年12月5日の新聞各紙はこれを大きく報道しています。口から十分に栄養や水分を摂るのが難しくなった高齢者に人工栄養素を導入せず、自然に経過を見るという選択肢もあることを示し導入した場合でも中止できることを定めた指針を公表しました。さらに2012年6月、日本老年医学会も高齢者の終末期における胃ろうなどの人工的水分・栄養補給について新たなガイドラインを発表しました。これらの意味するところは、老衰において医療がどこまで介入するか、何が大切か、本人の生きている生活の質をあらためて前面に押し出され、それが認められたのです。

本書は「看取り」の医師が提唱する自然な最期の迎え方を1つの選択肢として提案しています。

2012年11月15日 9:27  カテゴリー:書籍紹介

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