書籍紹介「遺伝子はなぜ不公平なのか?」稲垣栄洋 著
「遺伝子はなぜ不公平なのか?」
稲垣栄洋 著 ISBN978-4-02-295288-2
なぜ足の遅い遺伝子は存在するのだろうか?凡庸だと思える自己の遺伝子に本当に価値はあるのだろうか?生物は、意味のない個性を持たないという。
(1)個性とは
生物の持つDNAのうち、遺伝情報を持つ部分を「遺伝子」と呼ぶ。ところが、DNAを解析すると遺伝子の部分はDNAのわずか2%に過ぎない。残り98%の一部が遺伝子の発現スイッチをオンにしたり、オフにすることで、人間の「個性」を生み出していると考えられる。生物の進化は、正解のないものは、さまざまな答えを用意しているが、その「遺伝的な多様性」が、人間の世界では「個性」と呼ばれる。
(2)脳は「多様性」に耐えられない
人間は本来、多様な存在であるが、それでは脳は理解できない。そこで、分類して、整理して、何とか理解しようとする。そして分類すると比べたくなり、比べるために「数字」を用いる。また、管理する者にとっては、「多様性」は邪魔になる。そこで、学校などでは相対評価による成績をつけたり偏差値を用いて評価している。
(3)限りある命それが「死」である
単細胞生物の様に1つの命がコピーして増えだけでは、遺伝的に突然変異が生じても環境の変化に対応することは難しい。さらに、コピーミスによる劣化も起こる。そこで、生命は、2つの遺伝情報(オスとメス)を合わせて、まったく新しいものを作り出し、古いものをなくしていく「死」を選択した。この「死」によって、生命が世代を超えて命をつなぐリレーをすることで、永遠であり続けることを可能にした。
(4)人生の使命
この世に生まれるか否かは、本当に偶然と偶然の重なりつまり奇跡と言うしかない。「親は選べない」、どの家に生まれるかは運次第と言うけれど、実は、親は誰であろうと、たとえ家が気にくわなくてもこの世に生まれてきたことがアタリなのだ。そして、40億年の生命の歴史を受け継いだ遺伝子が、今、まさに私たちの体の中にある。人間の場合、両親の持つ23対の染色体の組み合わせだけでも70兆分の1の奇跡である。別の組み合わせならば、自分はこの世にいない。だから、生まれただけでも私たちは十分に勝者なのだ。この世での苦しみも悲しみも勝者にだけ許された感情である。だから、偉人やヒーローでなくても、この世で生きて死ぬ、それだけで十分に使命を果たしているのではないだろうか。
(5)欠点には意味がある
「動物」に分類される生物の進化戦略は「本能」(昆虫)と「知能」(哺乳類)である。本能には、状況の変化に対応できない欠点があり、一方、「知能」にも「考えて判断する」ためのデータが必要だという欠点がある。哺乳類は親や仲間から色々なことを教わりながら、知能を発達させるだけでなく体験から行動を変える知能も持っている。実は、ネアンデルタール人に比べると体も小さく力も弱いホモ・サピエンスは「助け合う」という能力を発達させ、大きな環境変化を乗り越えた。現在、人類は「ホモ・サピエンス」一種しか存在しない。か弱い人類は、力を集めて生き残った。そうであるならば、すべての人に役割があり、それを果たす場所が必要なのだ。つまり、さまざまな個性が必要なのだ。
遺伝子は私たちが生きるための武器だ!
人生は自分の可能性を探す旅である!!
2025年8月21日 9:06 カテゴリー:書籍紹介
