書籍紹介「がん」は止められる 落合孝広 著 

「がん」は止められる
落合孝広 著 ISBN978-4-309-50410-0

従来のがん治療は、抗がん剤、手術による切除、放射性治療、免疫療法など、いずれもがん細胞を叩くか、取り除くというものでした。しかし、今後のがん治療は「がんの転移を防ぐ」という方向にシフトしていくでしょう。それは治療による人体への負荷が大幅に小さくなることを意味しています。また、従来の腫瘍マーカーよりはるかに正確に血液1滴からがんを早期発見することができるようになりつつあります。

その鍵を握る物質が「エクソソーム」です。エクソソームとは細胞から放出され、直径が1万分の1mmほどのごく小さな「細胞外小胞」です。外側に膜があり、なかにはもとの細胞に由来する何種類かの物質が詰め込まれたカプセルのようなものです。エクソソームは、私たちの体の中のあらゆる細胞から放出され、血液などの体液とともに私たちの体の中を巡っています。そして、体液の中のエクソソームを交換することで細胞どうし、臓器どうしがコミュニケーションを図っているらしい事が分かってきました。さらに、そのエクソソームには、マイクロRNAが含まれていて、そこには何らかのメッセージが書き込まれ、それによって、相手の遺伝子に影響を与えています。マイクロRNAには様々な種類があり(今では2600種類ある事が分かっています)それぞれ機能が異なり、細胞に何らかのストレスが加わると動き出します。そして、がんの種類によってマイクロRNAのあらわれ方は異なり、マイクロRNAを見れば、がんの出自が分かる。つまり何のがんか特定できます。

また、がん細胞は、転移先の組織に向けて、エクソソームを放出し、メッセージカードであるマイクロRNAを発動させ、がん細胞が定着しやすい環境を整え、後からやってくるがん細胞を誘導して、そこに転移することも分かってきました。

細胞たちは微小物質「エクソソーム」で会話をしている!!

2021年3月18日 8:58  カテゴリー:書籍紹介

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