書籍紹介「これでもがん治療を続けますか」 近藤 誠 著
これでもがん治療を続けますか
近藤 誠 著 ISBN978-4-16-660966-6
これまで、多数のがん患者を診てきた著者の特徴はおそらく、一般向けの著作で目新しい主張をしたことにあります。つまり、
・臓器を摘出する手術は不合理
・治療が必要な場合には臓器温存をはかるべき
・肺がんや胃がんなどの「固形がん」に抗がん剤は無意味・有害
・健康なのにがん検診や人間ドックなどを受診する人は寿命を縮める
・がんは、どこかに臓器転移がひそんでいる「本物のがん」とひそんでいない「がんもどき」の二種にわかれる。
・がんもどきは放置しても転移しない
・本物のがんは放置したほうが長生きするものが多い
などです。
がんに関する社会通念とかけ離れた主張が多いので、もしこの考えが広く社会に受け入れられると、医者、医療機関、製薬会社、機器メーカー、厚生労働官僚からなる、がん治療ワールドが崩壊することになるのは見やすい道理です。著者にとって真に大切なのは、主張内容に間違いがないことと、読者にとって分かりやすいかどうかでした。
人々が理解できなければ、いつかがん治療の犠牲者になってしまいます。著者による多くの著作のうち『患者よ、がんと闘うな』が理論書であるとすれば『がん放置療法のすすめ』は実証の書であるといえますが、それらの内容を含めて長年著者が主張したことを本書では、よりわかりやすく解説されています。
日本のがん検診・治療は患者ではなく医者のために行なわれているーーーこれが著者の最終結論。“最新療法”に騙されてはいけない。命と健康を守るには断片的な情報にすがるより、がんの基本的な仕組みを理解する方がはるかに大事だと、わかりやすく説く。
早期発見・早期治療は、あなたの寿命を縮めるだけ!!
2014年7月3日 8:54 カテゴリー:書籍紹介