書籍紹介「病気が治りやすい人、治りにくい人」 於保 哲外 著
病気が治りやすい人、治りにくい人
於保 哲外 著 ISBN978-4-903773-09-4
著者は三十数年、精神科と内科の外来や病棟でたくさんの患者さんを診てきました。百人の患者さんがいれば、その病気の原因や現れ方も百通り。そして、患者さん本人の病気の受け止め方も様々です。
病気が治りやすい人もいれば、反対に病気の治りにくい人もいます。この両者の違いは何なのか、長年の治療を通してずっと考えてきました。そして、病気を治すための一つのコツに気づきました。それは「心と体を温める」ということです。
心の冷えは否定的なものの見方が原因となっています。自分を見る無意識の目が肯定的な場合は良いのですが、否定的なサングラスをかけている場合、人生は不幸な方向に傾きます。いやな事ががあったり、人に何か言われるたびに落ち込んだり、自分を責めるというパターンに陥ってしまいます。その結果、病気になってしまうのですが、病気になった自分をさらに否定し、責めていくので立ち直る事ができない悪循環に陥っていきます。大切なのは、それが「ネガティブスパイラル」となり、病気を悪化させていくという事実です。病気を治すには、それまでの否定的なものの見方を変える事が大切です。
一方、現代は体を冷やす要素がたくさんあるにも関わらず、冷えを防ぐ情報が不足しています。ストレスは交感神経を刺激し、血行を悪化させて冷えを生みます。さらに交感神経の興奮の結果、喉が渇き、さらに水分を摂取することで、ますます冷えを増大させる事になります。
本書は「心と体の冷え」をなくし「心と体を温める」ための具体的な処方箋がわかりやすく示されています。さらに、病気は自分自身が治すという意識改革の提唱とともに、心と体の全体を診る医療を重視し「すべての病気に心身医学が適用されるべきであると強調しています。
症状を抑える事を主眼とせず一人の人間が病んでいるという事の本質を問う視点の医学(人間医学)こそ、今の時代が求めている医学である。
2013年12月12日 9:08 カテゴリー:書籍紹介